ヒトラーに学ぶシリーズ第三弾。
今回は冷静になって判断することの大切さについて、ロンメル将軍とヒトラーの関係を例に記していきます。
前回の記事はこちらからどうぞ。
ロンメル将軍とはどんな人か?
フルネームはエルヴィン・ヨハネス・オイゲン・ロンメルといい、中産階級出身だったのでコネではなく純粋な軍事的才能によって元帥の階級まで昇りつめた職業軍人です。
ロンメルは敵の目から見てさえ英雄だった。イギリス軍兵士たちの間では、あることをりっぱにやってのけることを”ロンメルする”と表現するのが流行したほどだった。
『アドルフ・ヒトラー』 原作:ルイス・スナイダー/訳:永井淳 角川文庫 p.166より引用
とまあ、とにかく今も昔も世界各国で評価の高い指揮官です。
ロンメルが活躍するころのヒトラーは
ロンメルが敵国でも称賛されるほどの人物となったことから、ヒトラーは嫉妬してしまいます。「ガキかよ…」と思ったそこのあなた、その通りです。
嫉妬している間にもロンメルは功績をあげるので、元首としては何かの形で表彰しないといけません。そのときにヒトラーはしぶしぶ彼を元帥に昇格させたのですが、将軍自身は「階級よりも兵隊が欲しいなぁ」と思っていたようです。
ロンメルの対応
突然の負傷
1944年7月のある日、移動中にロンメルは機銃掃射に遭い、瀕死の重傷を負います。死は免れましたが、入院中もヒトラーは無謀な作戦を立て続けたのでそれにしびれを切らした部下たちはヒトラー暗殺計画を立て、意識が戻った指揮官に参加を要請します。
結果はいかに
計画は結局のところ失敗し、怒り狂ったヒトラーは唯一無二の優秀な人材であるロンメルに対して自殺を命じました。当時の彼はナチではなかったこともあり、拒否すれば余計に家族に迷惑がかかることは明白だったため、彼はそれをいさぎよく受け入れました。
かくして国防軍きっての名将であるロンメルは母国の元首によって潰されてしまったのです。
耳を傾け冷静な対応をせよ
あくまで仮定の話ですが、もしヒトラーが「他人の話を聞いて冷静に考えることを学んでさえいれば」ロンメルの死も、ナチス・ドイツの完全敗北も回避できたのではないのか…?と私は考えます。
ヒトラーは1941年からひとつの重大な過ちを犯しています。対ソ攻撃の時期です。
ヒトラーは『我が闘争』の中でも、その他の場所でも、自分は第一次大戦のカイザー・ヴィルヘルム二世と違って、西で連合軍と戦い、東でソ連と戦う二正面戦争の危険はおかさないと、何度もくり返し述べている。アドルフ・ヒトラーはそれほど愚かではない!
『アドルフ・ヒトラー』 原作:ルイス・スナイダー/訳:永井淳 角川文庫 p.169-170より引用
…などと書いたり述べたりしたそうですが、結局のところそんなことはすっかり忘れ、西側戦線の終結を待たないうちに東側戦線を構築してしまいました。結果待っていたのはスターリングラードの戦いでの大敗で、このあとは劣勢への転換を余儀なくされるのでした。
ヒトラーは自分自身に負けたのだ、と彼の将軍たちはうんざりした口ぶりで語った。
『アドルフ・ヒトラー』 原作:ルイス・スナイダー/訳:永井淳 角川文庫 p.170より引用
と章が締めくくられているところからも、どうせ周囲に止められながらもそれを振り切って対ソ侵攻を開始してしまったのでしょう。
対ソ侵攻やスターリングラードの戦いで学べばよかったものを、劣勢になってもなお馬鹿げた作戦を指示しようとする総司令官に対して、暗殺計画が立ち上がったのは必然と言えよう、と私は考えています。
こうした事実からヒトラーに欠けていたものが見えてきませんか?
一つは大事な選択をする前に冷静になること。もう一つは過去にきちんと学び、行動に取り入れること。どうでしょう。皆さんはできていますか?難しいですよね。
自分への過信は身を亡ぼすことにつながります。しかしその考え方に囚われ、自分を信じられなくなるのもまた考えものです。結局のところはバランスが大切なのでしょう。
「(プロフェッショナルの)話をきき、状況と照らし合わせて最善策を考える。」
なんだか御立派なことを書いていますが、私ができているとは思いません。この御立派で難しいことを常にできる人が(いろんな意味で)成功するのでしょうが、そこには運という要素も絡んできますし、人間は常にそんなに冷静じゃいられないです。
なんだか前回と似たような締め方になってしまいましたが、聞く・考える・行動するの3点セットを頭の片隅においてもらえればもうちょっと社会に余裕というか、ゆとりというかが生まれるのではないかと思いながらこの記事を書いてみた次第です。
まとめが長くなりまして失礼いたしました。そしてここまでお付き合いいただきありがとうございます。
一応ヒトラーに学ぶシリーズは目下ネタ切れのためここで一旦終了とします。ありがとうございました。
明日以降はどうしようかなーと考えているのですが、特にこれといったものが思いつかないので例によって不定期更新になりそうです。Googleアドセンスの認可まだかな。それではそれでは。